Tour de France 2023 Wine Tour
昨年と変わらず post-COVID 感に包まれてシーズンインしていたプロトンに水を差す感染者の拡大によって今年もまた感染対策用プロトコルが策定された 2023 年ツールドフランス。直前にはフランス国内で暴動が起こるような事件が発生し、そちらの状況も予断を許さない状況での開催です。
もしフランスのワインがお好きな方が今年のツールのルートを見たら、なぜこんな偏ったルートなんだと言いたくなるようなルートになっていますが、選手同様どのようなルートでも私は戦います(?)。
毎度のことですが、この記事を書いている時点ではレースは始まっていないため、ワインもまだ 1 本も飲んでいません。よってワインの味や感想を期待しても何も出てきませんので悪しからず。
また、今回も各地域のワインは恵比寿にある La Vinée で買い揃えました。毎度毎度、相談に乗ってもらって助かっています。専門店ならではの豊富なフランスワインはもちろん、隣の Wine Market Party ではイタリア、アメリカ、その他の国や地域のワインも非常に多く取り揃えていてお気に入りなので、ワイン好きは行くと幸せになれると思います。オンラインでもどうぞ!
早速ですが、1 本目。残念ながらバスク地方はスキップして、第 4 ステージのフィニッシュ地点ノガロから南に 10 キロ弱のところにある Plaimont Producteurs の Le Faîte Saint Mont Blanc でワインツール開幕です。狙ったわけではないのですが、このワイン、エチケットがない代わりに木札が付いています。そしてその木札が黄色の封蝋のようなもので留めらています。いかにもツールっぽくていいですね。さて、レース自体は 3 日前に開催しているので、すでに最初のマイヨジョーヌ獲得のためにさまざまなドラマが展開された後かもしれません。しかしその 3 日を含めても最も起伏の少ないステージと言えるこの第 4 ステージ、カヴェンディッシュは価値のある勝利を納められるでしょうか。
2 本目は、第 5 ステージのスタート地点ポーから西に 5 キロほど、ジュランソンは Domaine Bru-Baché の Jurançon Sec を。ポーといえばもうそれはジュランソンなのです。今年はピレネーに向かっていくルートですが、特に後半は 2020 年の第 9 ステージと同じルートです。その時は早い段階でヒルシが逃げを決めたものの、結局レース中盤に集団から飛び出したポガチャル他数名に追いつかれ逃げきれませんでした。今年も同じような展開が見られるのでしょうか。そういえばピノが脱落していったのもこのステージでしたが、今年がラストイヤーとなる彼にもいい成績を残してもらいたいものです。ちなみに去年も第18ステージでポーの近くを通過していて、その時は Château Laffite Teston の Jrancon Sec 2018 を選びましたが、今年もこっそり同じワイナリーの Vieilles Vignes 2018 が候補の一つでした。ちょっと先に挙げたワイナリーと近すぎるのでリストには入れませんでした。
3 本目は第 7 ステージのフィニッシュ地点ボルドーから北に 30 キロほど、Château Lilian Ladouys の 2016 を選びました。聞くところによると、ツールがボルドーに立ち寄るのは実に 2010 年以来らしいですが、ワインツアーにとっては立ち寄らない理由がないほど魅力的な場所です。今回はジロンド川左岸のワインを選びましたが、最近スプリンターとして定評がないサガンは例えばこの第 7 ステージのようなスプリントステージで勝利をもぎ取ることができるのでしょうか。別に冗談を言うために左岸のワインを選んだわけではありません、念の為。それどころかこのワインはこの地域では一般的に右岸で作られることが多いメルローの配合が比較的多めです。
4 本目は第 11 ステージのスタート地点クレルモン=フェランから南に 10 キロほどのところにある Yvan Bernard の Corent 2020 です。去年のツールとは異なり、今年はクレルモン=フェランの TGV、ことカヴァニャがツールに出場するため、彼にアクシデントなどがなければ地元スタートならではの映像が見られるかもしれません。そしてカヴァニャが若手ならワインもクレルモン=フェランで若手が作るナチュラルワインです。リストに加えたのはロゼですが、赤の Banlieue Rouge 2021 も買っています。ルート自体は概ね平坦ということもあり、休息日明けの最初のスプリントステージになりそうです。
5 本目は第 12 ステージのフィニッシュ地点ボジョレーから北西に 5 キロほど Domaine Jean-Marc Burgaud の Regnie Vallieres を選びました。第12ステージはアップダウンの多いクラシックのようなルートになっていますが、そんなことよりも(!)初めてスタート/フィニッシュ地点になるボジョレーのワイン畑を縫うようにプロトンが走っていく様を見られるコースなわけです。今年は何かと雨になるレースが多い印象ですが、ぜひこのステージは晴天で迎えたいところです。総合勢はこのステージの翌日から3日間山岳ステージを戦うことになるため、ここで動くことはおそらくないでしょう。さて、そうなると誰が飛び出すのか。
6 本目は第 13 ステージのフィニッシュ地点から南に 15 キロほど Domaine Eugène CARREL et Fils の Chardonnay La Camusette を選びました。フランスの革命記念日である 7 月 14 日にグランコロンビエールの山頂フィニッシュです。2020 年にも同様にグランコロンビエールの山頂フィニッシュだった時にはユンボがチーム一丸となってプロトンを崩壊させたものの、ヤングライダージャージを着たポガチャルに勝利を持っていかれる、そんなレースでした。そういえば 2020 年の時はコロナで開催が 8 月末でグランコロンビエールも無観客でした。ちなみにその時にグランコロンビエールよりやや北西辺りにあるビュジェ地方の Domaine La Dentelle が作る Bugey Cerdon Rosé Demi Sec を初めて選んで飲んでからというもの、すっかりお気に入りになっています。
7 本目は第 14 ステージの 1 級山岳からレマン湖に向かった、ほぼ湖畔の Domaine de Ripaille の Vin de Savoie Ripaille を選びました。151 キロのうちの残り 65 キロは 2016 年の第 20 ステージと同じで、この時は最終ステージを前にフルームがマイヨジョーヌを、サガンがマイヨヴェールを、マイカがマイヨアポアンを、そしてアダムイェーツがマイヨブランを決めたステージでした。今年は順位を決定づけるような日程ではありませんが、3 つの 1 級山岳と 1 つの超級山岳が詰め込まれたルートは総合争いにどのような影響を与えるステージになるのか。最初の 2 つの 1 級山岳あたりから臨むレマン湖は絶景だと思いますが、ミネラルウォーターの採水地として有名なエビアンがあるこの地域の畑で作られるワインもまた魅力的でしょう。
8 本目は第 19 ステージの 50 キロ地点のオルジュレから北西に 15 キロほどのところにある Domaine JOLY の Pinot Noir 2019 を選びました。ちょっとステージが飛んでしまいますが、レース的には山場となる地域が必ずしもワインの産地ではないということです。ということで、サヴォワ地方を経てスイスの国境付近の山岳地域を抜けた後、突然都合よくジュラ地方に戻ってきた第 19 ステージは、アップダウンが多いステージと言えなくもないですが、起伏は大したことがありません。単純なスプリントステージになる可能性もありますが、そうであっても最後はほんの少しだけ斜度があるため、普段とは違う選手によるスプリント勝利が見られるでしょうか。
9 本目は第 20 ステージのマンステールから東に 5 キロほど、Domaine Barmès-Buecher の Mue 2020 を選びました。こちらも突然都合よくアルザス地方を通る第 20 ステージ、と見せかけて最終ステージを目前にしたカテゴリ付き山岳の詰め合わせのルートです。総合争いがこのステージまでもつれ込むことはあまりないかと思いますが、もしそんな事態になれば超級山岳フィニッシュとは違ったドラマが見られそうですが果たして。なお、今回はオレンジワインを選びましたが、当然白ワインの選択肢は非常に多い地域なので、実はついでにもう一本買ってたりします。
最後は恒例のシャンパーニュということで今年は の Brut Millésime 2008 を選びました。いつものようにツールドフランスの公式パートナーである Castelnau のワインは日本で見かけないので仕方がない、などと言いながら毎年違うものを選んでいます。今年はもうほぼオレンジ色ですがツールの締めということでエチケットの色を優先して選んでいます。去年はフィリップセンが第 15 ステージに続いてシャンゼリゼのスプリントを制しましたが、今年はどのスプリンターが勝ってもドラマがありそうですね。
以上で、ツールドフランス 2023 に合わせたワインリストでした!
