Tour de France 2024 Wine Tour

祥雲LLN68(a.k.a Alice)
9 min readJun 28, 2024

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つい先日 Giro d’Italia が終わったと思ったらオリンピックのおかげで休む暇もなく Tour de France。巷ではビッグ 4 とかいう謎の国際犯罪組織のような 4 名が優勝争いの筆頭になるだろうというのがもっぱらの噂ですが、今年は黒いツール限定ジャージを身にまといカヴェンディッシュの記念すべきスプリント勝利の前に何度もたちはだかるであろう「悪役」フィリップセン、復活のベルナルなど、見どころは優勝争い以外にも多くなりそうです。

一方、ルートはフランスに入国して以降、ワインの産地を微妙にかすめていく、去年同様満足度のやや低いルートとなっているのに加えて、山岳ステージでワインの産地が近いことが少ないためにほとんど平坦ステージだけの紹介のような形になってしまっています。

毎度のことですが、この記事を書いている時点ではレースは始まっていないため、ワインもまだ 1 本も飲んでいません。よってワインの味や感想を期待しても何も出てきませんので悪しからず。

また、今年も各地域のワインは恵比寿にある La Vinée で買い揃えました。毎度毎度、相談に乗ってもらって助かっています。専門店ならではの豊富なフランスワインはもちろん、隣の Wine Market Party ではイタリア、アメリカ、その他の国や地域のワインも非常に多く取り揃えていてお気に入りなので、ワイン好きは行くと幸せになれると思います。オンラインでもどうぞ!(コピペ)

https://img.aso.fr/core_app/img-cycling-tdf-jpg/tdf24-aff-400x400-parcours-vierge-legende-24oct-300/52510/0:0,4724:4724-1200-0-70/94e2d
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早速ですが、イタリアの 3 つのステージはコンセプトに合わないので勝手にスキップします。第 4 ステージでテレグラフ峠とセットになっていることが多いガリビエ峠を通常(?)とは逆の方向から登ったプロトンは第 5 ステージで高速道路 A43 沿いに北西に向かい、サヴォワ地方の中でも南に位置するコンブドサヴォワ地区を通過していきます。その地区でも最大と言われるワインの生産地であるアプルモン村に位置する Domaine Blard et Fils の Roussette de Savoie 2021 を 1 本目として選びました。谷を縫うように北西に進んでいく平坦ステージですが、モンメリアンの周辺で早速ぶどう畑を背景に進んでいくプロトン、という絵が見られるかもしれません。ひまわりも良いですがぶどう畑も劣らず象徴的で私は好きです。ソーラーパネルだけは勘弁してほしいですね。

第 5 ステージはそのままアルプスの西側の麓まで抜け、さらにローヌ川に沿ってフィニッシュ地点のサンヴルバに向かっていきますが、そこはもうビュジェ地区。2 つ目の 4 級山岳の近くにある Domaine Trichon の Et Si On Essayait? 2021 を 2 本目に選びます。この山岳を越えるとフィニッシュ地点までは残り 30 キロほど。フラムルージュの手前にランダバウトがあるものの、それ以降はフィニッシュラインまで見通しのいいほぼ直線。最後の 1 キロの中に 2 つ直角カーブがある第 3 ステージとは違い、リードアウトから発射され、最もスピードが乗った典型的なスプリンターによる勝利が見られるでしょうか。

続いて第 6 ステージ。マコンからディジョンに向けて北上する平坦基調のルート、そしてニュイサンジョルジュの第 7 ステージ ITT。普通に考えるとここはブルゴーニュを選ぶところでしょう。ところが私ときたら、もうすでに泡が飲みたくなってくることを想定して、2 本目と同様ビュジェ地区の、しかし 2 本目よりさらに北、マコンから東に 30 キロほどのブールカンブレスの近くにある、毎度お馴染み Domaine de la Dentelle の Bugey Cerdon Rosé Demi Sec を 3 本目に選びます。本大会 1 回目の ITT は、公式のルートプロファイルを見るとほとんど平坦のように見えますが、実際はまっすぐ行けるところをわざわざ丘側に進んでいることもあって思ったよりは登ってるんだな、という印象になりそうです。あと道が全体的に狭いです。

久々に起伏が多い第 8 ステージ。我に返った…のかどうかわかりませんが、スタート地点より西に少し行ったところ、ブルゴーニュ地方、シャブリ地区に隣接するイランシー地区から Domaine Ferrari の Irancy 2019 を 4 本目に選びます。ほとんど平坦がなく、山岳ポイントを 5 回も獲得するチャンスがあるこのルートですが、逃げるは起伏が小さすぎ、かつゴール手前に起伏があるわけでもないので、ここは力こそパワーなスプリントによる決着になるでしょうか。

そして第 9 ステージでシャンパーニュ地方、コートデバールを訪れるプロトン。大会唯一のグラベルステージ、ということでワインもいわゆるシャンパンではなく、コトーシャンプノワ(シャンパーニュの小さな丘)、つまり非発泡性のワインから 2 本。まずは 3 つ目の 4 級山岳の近くの Fleury から Coteaux Champemois Rose を。次いで、そのすぐ南西にある Morize Pere et Fils の Coteaux Champenois Blanc を…とここまで普段との違いを持ち上げておいて、でも第 9 ステージの発着地点であるトロアといえば、まだ複眼のサングラスをつけて鮮やかな青いジャージを着たキッテルの勝利だし、そこで勝利を逃したロットのグライペル、カチューシャのクリストフという印象が強いです。その年は直前の平坦ステージでサガンとカヴェンディッシュが例の落車の件で不在という曰くつきの Tour de France でしたが、今年はロスターに選出されなかったフルームが総合優勝を飾っていますし、バルギルが輝いていましたし、サイモンの方のイェーツはまだ新人賞でした。ずいぶん歳をとったものです…。

パリを横目にオルレアンに移動し、ロワール地方を抜けて南下するプロトン。第 10 ステージの中間スプリントポイントのすぐ北西には観光地で有名なシュヴェルニー城があり、そしてそこはワインの生産地シュヴェルニー地区でもあります。ということで、シュヴェルニー城のすぐ西にある Domaine de Montcy の Cheverny Louis de la Saussaye 2020 を 7 本目に選びます。そう言えば、今年のロスターには入っていないアラフィリップ生誕の地はこのステージのフィニッシュ地点の近所だったでしょうか。

今年は珍しくボルドーを通過しないプロトンですが、第 12 ステージではフィニッシュの直前にロット川流域を通過します。ロット川ということはカオールです。Domaine La Berangeraie の Cuvee Maurin Cahors 2018 を 8 本目に選びます。先ほどのロワールのワインでもマルベック(ロワールではコー)が含まれていましたが、こちらはマルベック単一種。ボルドーを通過しなくてもタンニンがしっかりある赤ワインをここで楽しんでいきます。平坦ステージが続いて特にいうことも無くなってしまいましたが、気がかりはフィニッシュ地点から 5 キロ以内にいくつも通知されている注意事項。おまけにこんな細いところを通るんですか、Zwift じゃないんですから人間は重なったりできないですよ?というルートで落車がありませんようにと願うばかりです。

もし陰謀論があるとすれば、ポー。謎の組織が力を行使してほぼ毎年プロトンが訪れるようにしている、なんてことはないと思いますが、今年は第 13 ステージのフィニッシュ地点でもあり、第 14 ステージのスタート地点でもあります。登場回数に伴ってお馴染みとなりつつあるジュランソン地区から Clos Lapeyre の VDF Evidencia 2021 を 9 本目に選びます。久々にやってきた山岳ステージは後半に超級、2級、超級と続きますが、平坦ステージばかりですっかり飽きてしまったポガチャルが大暴れしそうです。もっと前に暴れてるかもしれませんが…。

ピレネー山脈を抜けて休息日を挟んだ第 16 ステージ。ここはいわゆるラングドック・ルーションと呼ばれる地域で、基本的には平野です。そのため、Tour de France ではピレネー山脈に入ってく前、もしくは入った後に平坦ステージが設定されることが多く、今回もその例に漏れず、といったところでしょうか。例年あまり北側の中央山塊に入っていくことはないため、ルートのバリエーションはあまり多くないですが、一方ワインに関して言えば土地もそこで育てられるぶどうも多様でフランス屈指のワイン生産地です。今回はその中でも内陸部で周囲よりも標高が高いところでワインを生産している、Chateau des Peyregrandes の Faugeres Cuvee Marie Laurencie 2020 を 10 本目に選びます。もし、ベジエ通過後に海側から空撮映像があれば背景に一段高くなっている山地が見えるかもしれませんが、まさにそこが生産地です。

11 本目は同じく第 16 ステージですが、フィニッシュ地点のニームに近い Domaine de la Patience の IGP Coteaux du Pont du Gard Syrah 2022 を選びます。ラングドックを抜けたプロトンはローヌ川の河口近くで最後の平坦ステージに別れを告げます。そこはもうワインの生産地、ローヌ地方の最南端であり、ここからローヌ川沿いに北上するか、プロヴァンス地方に進んでくれるとワイン好きとして嬉しいのですが、そうはならずワインの生産地から外れて再びイタリア国境付近の山間部へ入っていき、最終ステージまで進んでしまいます。

ということで、12 本目。最終ステージはパリであろうとなかろうと、シャンパーニュで締めます。今年は泡が特に少ないのにシャンパーニュ地方を通過したタイミングでシャンプノワのワインを選んでしまったので、最後は Parva Domvs の Brut Champagne Rose を選びます。公式のコースプロファイルを見るとなだらかな丘を 2 つ越えるだけのような感じに見えますが、地図上で見るとかなりスイッチバックも多くテクニカルなコースに見えるので、もし最終ステージまで総合争いがもつれ込んだ場合はかなりハラハラする展開がみられるかもしれません。

以上、Tour de France 2024 に合わせたワインリストでした。

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祥雲LLN68(a.k.a Alice)
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Written by 祥雲LLN68(a.k.a Alice)

備考欄に感想を書くタイプのエンジニア(´Д` )

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